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神田神保町の路地裏にひっそりと佇む1949年(昭和24年)創業の昭和レトロな老舗喫茶店ラドリオは、日本で初めてウィンナコーヒーを提供した店として有名です。店名のラドリオはスペイン語でレンガの意味です。
当然お店のファサード(ファサードっていう言葉は少々抵抗がありますが)はばっちりレンガです。新しいレンガもあるので、定期的にメンテナンスしているのでしょうね。▼
店構え
神田神保町には昭和レトロなお店がたくさんあって、まだまだ書きたい場所のストックがあるのですが、まずはラドリオから。
靖国通りから少し入った路地裏にあるラドリオ。店構えの風格は他者を寄せ付けないくらいの貫禄を見せています。スタリッシュなお店はいくらでも新しく作れるけれど、こういう時間の経過を感じる風格って意図的には絶対に作れないから大好きです。長く守っていきたいお店の一つですね。▼
店内
ずっと喫煙OKなお店でしたが、現在は禁煙になりました。これも喫茶店あるあるですが、カウンターにいた喫煙者の常連さん達はどこへ行ってしまったのでしょうか。
そんな長年煙で燻されてきた店内は入り口から奥に細長く、奥に行くにつれダークな印象のお店です。タフティングなしの赤い椅子と赤いカーテンがポイントです。
このブランクーシの作品のような柱も好きだなぁです。柱の近くの奥の席から▼
コチラはお店入り口のキッチン前のカウンター席▼
メニュー
ランチはチキンカレーとナポリタンの2択ですが17時まで食べられるのがいいですね。
セットにつくドリンクって普通ホットコーヒーかアイスコーヒーだけだったりして、ウィンナコーヒーの場合は追加料金ってパターンですが、ラドリオ は違います。さすが、日本のウィンナコーヒーの始祖だけあってウィンナコーヒーも追加料金なしでセットにつけられます。▼
ドリンクメニューを撮り忘れました。ちょっとみにくいですが、外に出ていたメニュー看板の写真です。▼
蓋だった!?
学生運動が活発だった頃、多くの学生が議論の場としてラドリオを利用していました。運動家たちの長い長い議論の間、生クリームが蓋代わりとなり、コーヒーが冷めにくかったおかげで運動家の学生達の間でウィンナコーヒーがとても人気だったのです。
さて、それでは生クリームの蓋を見てみましょう。
オーダー
この日はウィンナコーヒーではなくてウィンナカフェオレをオーダーしてみました。
ウィンナカフェオレの場合は、あのラドリオオリジナルカップじゃないんだ!
確かに生クリームは蓋ですね。冷めにくいっていうのは本当です。▼
コチラはアイスウィンナカフェオレです。
山のようにそびえる生クリームは見ただけでテンションマックスですね。▼
ウインナーコーヒーは創業まもない頃から出されているメニューで、当時常連だった東大教授がウイーンを訪れた時に飲んだコーヒーの話が発端です。その話を聞いた当時の店長が、他のお店にはないものを出したいと考え、戦後生クリームがまだ珍しかった時代にケーキ屋さんで生クリームの作り方を学んで提供をはじめたという歴史があります。
当時それはそれはモダンな飲み物だったでしょうね。
ホットとアイスのウィンナカフェオレの競演です。▼
ポイント
「ラドリオ」っていうカタカナのフォントもすごく味があっていいんだけれど、オリジナルのカップやコースターのデザインもすごく印象的です。
これらのデザインはかつての常連さん彫刻家本郷新の手によるもの。また、店内にはラドリオの女性店員をモデルにしたという本郷新の彫刻作品や、同じく常連だった彫刻家昆野恒の作品も飾ってあります。神保町にゆかりのある推理小説家逢坂剛が、ここラドリオで直木賞の発表を待ったという逸話もあります。
文化人が足繁く通った理由は、創業者である島崎夫妻が戦前から『島崎書店』という書店を経営しており、この店を訪れる客のためにつくったサロンが現在の『ラドリオ』となったからです。
かつては、ラドリオに50年間勤めた女性店長がシャンソン好きだったので、シャンソン喫茶として有名でしたが、現在はシャンソンに限らず様々な曲が流れています。
ラドリオ
千代田区神田神保町1丁目3 MAP