コンテンツへスキップ

日本のロックの歴史の一部、渋谷百軒店の老舗ロック喫茶「B.Y.G.」


シェア:

渋谷百軒店の「B.Y.G.」は1969年創業。渋谷のロック喫茶でも最古参の部類ですが、渋谷にとどまらず日本のロックの歴史の生き証人のようなロック喫茶です。

B.Y.G というのは Beautiful Young Generationの略。渋谷の若い人に向けて新しい音を届けようという意気込みで命名したようです。

立地と歴史

もともと百軒店にはジャズ喫茶が多くあったそうなのですが、やがてロックの時代になり伝説的な「ブラック・ホーク」をはじめロック喫茶が増えていきます。その中でライブスペースもある場所としてB.Y.G.が誕生したようです。

ロックはフォークやジャズと違ってアンプを使い音量もあるので、ライブは広くて特別な機材が置けるスペースが必要だったのですね。

そんなB.Y.G.では最初期から鈴木慶一のはちみつぱい、細野晴臣や松本隆のはっぴいえんど、頭脳警察など日本のロックの代表的なアーティストのライブが行われていて、老舗ライブハウスでもあるのです。

昼間はロック喫茶として、夜は地下のライブハウスで夜な夜なライブが行われ。たぶんパンク以前の渋谷のいや日本のロックのある意味で中心的な場所だったのかもしれません。

ロックの生き証人

そんな日本のロック創成期の名残は店内にも見られます。

これはトイレの中▼

LPのジャケットがディスプレイされていました。

ガンズの1stはともかく、その下はフリーの「Live!」。B.Y.G.がオープンした1969年頃、日本で一番人気のあったロックバンドです。フリーのことを悪く言う人には出会ったことがないくらいです。ちなみにポーカルのポール・ロジャースの奥さんは日本人でした。

そして6月のスケジュール表。はっぴいえんど、裸のラリーズといった既に無いバンドの名前がありますから、この6月は2020年でも2021年でもありません。

はっぴいえんどがいてDEWがいるので、たぶん1971年の6月だと思われます。

また「風都市」というコンサートのチラシ(今でいうフライヤー)。

はっぴいえんどの他に蜂蜜ぱい(当時の名称)、吉田美奈子、小坂忠、遠藤賢司、友部正人、かねのぶさちこ(金延幸子)、高田渡といったメンバーによるコンサートだったみたいです。

ただこのコンサートの会場はここBYGではなかったようですが。

このようにちょっと店内を見るだけで、お宝的情報がわんさか見つかります。

ただこうしたレトロスペクティブな情報は情報としてありますが、かかっている音楽は意外と最近のものまでカバーしていて、単なる懐メロ喫茶店にはなっていません。

店構え

石造りの外装のビルがB.Y.G.の入るビルです。

出入り口はこの小さなドア1枚。

ちなみにお隣は名曲喫茶「ライオン」。B.Y.G.と真逆な ”近代、現代音楽等は当店にそぐわない” というポリシーらしいです。

ドアから入って右が喫茶スペース、左手から階段を降りるとライブハウスです。▼

レジカウンターにはCDが山積み。

リクエストもOKです。

街のロック喫茶よりはとにかく広くて何もかもが古い! それが良い味を出しているのです。

店内

今回は1階のロック喫茶のスペースを紹介します。

店内はウッドをベースにまとめられたナチュナルなもの。 ”自然に帰ろう” という雰囲気があった60年代から70年代初頭にかけて流行っていたものです。

それがそのまま残っていて、古くて懐かしい感じです。

今は感染症対策で椅子の数が減らされているようです。

でも四方の壁に沿って椅子とテーブルが並べられたレイアウトは昔から変わりません。▼

来店したアーティストたちのサインが並ぶ壁。

壁際にはやはり木製のベンチが置かれています。

突き当りに置かれているのは大きなニール・ヤングのポスター。その右奥にはジョー・コッカーのポスターも見えます。

ニール・ヤングにジョー・コッカーというあたりがB.Y.G.の好みを反映していますね。▼

椅子一つみても年季の入ったものだと分かりますね。▼

地下のスペースへ続く階段にははっぴいえんど、ジェファーソン・エアプレイン、オールマン・ブラザーズ・バンドなどのポスターが。

たぶんはっぴいえんどのメンバーもこの階段を使ったのでしょうね。▼

トイレの中は壁いっぱいにLPジャケットがディスプレイされています。

トイレに入ったままいつまでも出てこない人続出じゃないでしょうか。▼

あと2階も喫茶スペースです。内装も雰囲気もほぼ1階と一緒です。

メニュー

メニューは普通にロック喫茶なメニューです。

ただロック喫茶に欠かせないビールはノンアルコールでした。これは訪問日が感染症の自粛期間中だったためですね。通常であれば普通にビールはあります。▼

フードメニューも。

今は子ども向けキッズメニューも用意されているそうです。子ども連れ、ファミリー、ベビーカーも大歓迎とのことなので、ランチに訪問してみるのも良さそうです。▼

この日のオーダーは「アイスコーヒー」。▼

普通のアイスコーヒーでした。

サインだらけの店内

店内で見ておきたいのが壁いっぱいに書かれた数々のサインです。

これは鈴木慶一の「はちみつぱい」。2016年の再結成コンサートの時のものだと思います。はちみつぱいといえばBYG、、BYGがといえばはちみつぱい。切っても切れない関係ですね。▼

CDケースの脇に書かれた「Kasabian(カサビアン)」のサイン。日本だけでなく海外のアーティストも来店してサインしていきます。カサビアンは毎年のように来日していた時期があるので、このサインもそのころ(2000年代)のものでしょう。

これは友部正人と鮎川誠のサイン。

鮎川誠が友部正人レスペクトでここにサインを書いたんじゃないかなぁと思っています。

もちろんKeep A-Rockin’ というメッセージも。▼

ポイント

絵に書いたようなロック喫茶です。

日本のロックの歴史を感じさせる内装は何度行っても飽きません。

かかっている音楽は決して70年代のロックとは限らないので、音楽が好きな人なら気に入ると思います。

かつては多くのジャズ喫茶やロック喫茶が並び渋谷の音楽文化の代表的なエリアだった百軒店。その雰囲気を今も残すB.Y.G.ですがレトロだけで片付けられない魅力あるロック喫茶です。

基本情報

店名 B.Y.G.
住所 渋谷区道玄坂2丁目19−14 MAP
最寄駅 渋谷駅徒歩約5分
定休日 なし
営業時間 11:30 – 20:00 
禁煙・喫煙 禁煙(屋外に喫煙スペースあり)

営業時間、定休日などは変更になる可能性があります。

シェア:
同じカテゴリーの記事 スポンサーリンク
スポンサーリンク

コメントを残す