コンテンツへスキップ

旧軽井沢銀座で半世紀以上。通年で静かな軽井沢を楽しめるのはあの老舗喫茶の直営店「茜屋珈琲店 旧道店」

軽井沢という日本を代表する高級避暑地で1970年から半世紀以上にわたって営業し、軽井沢に別荘を持つ政財界や文化界の著名人からこの地を訪れる感度の高いアーティストたちからの支持も高い老舗喫茶「茜屋珈琲店 旧道店」。

本店は神戸の三宮にある「茜屋珈琲店」で、その支店というか直営店みたいな位置付けです。

▲建物自体は80年代以降に建て替えたか大規模修繕していると思うのですが、とにかく軽井沢が本当に避暑地としての軽井沢だった頃からの歴史を見てきた喫茶店ということでレトロ喫茶としての紹介です。


立地と歴史

軽井沢の「旧軽井沢」というエリアの「旧軽井沢銀座」という通りに面しています。かつての中山道の宿場町として栄えていたのでこの名が付いています。

そのため、茜屋珈琲店の店舗名も「旧道店」。旧道とは中山道のことです。

▲この地での開業は1970年。ディスカバー・ジャパンのキャンペーンによる旅行ブームやアンノン族による軽井沢ブームの前ですから、純粋に良質なリゾート地への出店という思惑もあったのでしょう。まさに創業者の慧眼です。

「茜屋珈琲店」という名前の喫茶店は日本中にいっぱいありますが、神戸の茜屋珈琲店系列のいわば本物の茜屋珈琲店は三宮と軽井沢の店舗だけ。他の茜屋と名乗っているのは店名と特徴的な看板を借りているものだったりするようです。

本物の茜屋の珈琲と世界観を反映した店舗を味わうには神戸か軽井沢の店舗を訪問する必要があります。どちらも戦前から外国人が多い土地というのが共通しています

店構え

茜屋珈琲店でまず思い浮かべるのが黒い木調の外観と特徴的な店名に使われているフォント。

▲直営店ですから、ここもその特徴的な看板が付いています。

70年代以降、日本中に多くの模倣店を生み、飲食店文化に多くの影響を与えた茜屋珈琲のオリジナルがこれと言ってもよいでしょう。

また回り回ってブルーボトルコーヒーなどのサードウェーブ系にも影響を与えているのでしょう。

店内

その茜屋珈琲旧道店の内部を見てみましょう

▲十数席が並ぶカウンターがメイン

コーヒーはマスターが一人で淹れています。

カウンターと反対側の壁際には4人用のボックス席が4つほど。

▲店内も黒で統一され、カウンターに敷かれた紫のクロスがアクセント。

店内は絶対一度は改装されていると思うのですが、カウンターそのものは創業時からのものではないでしょうか。

▲カウンターに座れば全面にはカップとソーサーがずらっと並んでいます。また茜屋のジャムやグレープジュースなども並んでいます。

さらに上を見上げるとカップがズラっとぶら下がっています。店内のカップの数は2,000とも3,000とも。お客さんに合うカップをマスターが選んでくれます。



メニュー

メニューはとってもシンプル。

店頭にメニューがぶら下がっていますがそれが全部です。

▲店内にもメニューが置かれています。

珈琲、紅茶、ぐれいぷじゅーす、冷たいここあ、おれんぢじゅーす。これが995円。

高いがうまいお菓子。これはチーズケーキとチョコレートケーキのことで600円。

コーヒー1杯で995円。デフレ感覚に慣れた人にはそれだけで受け入れられない価格でしょうが、ずっと昔から995円です。今はもうメニューにありませんが茜屋珈琲には9,900円のコーヒーがあった時代もありました。

要するにこれに文句があるなら来なくていいという茜屋珈琲の独自の世界観の一つです。

1,000円ちょうどじゃないのは ”良いご縁でした” として5円のお釣りを渡すためです。実際ピッカピカの5円でお釣りをもらえます。それもまた茜屋珈琲の美学ですね。

▲これは「駅前店」の店頭のメニューです。

旧軽銀座の店舗は分かっている人が来店する店なのであれでいいのですが、駅前店の方は軽井沢駅を利用する一般のお客さんも来てしまうのでメニューと価格を分かりやすいように書いたメニューが必要なのだと思います。

これがないとコーヒー1杯995円と知って怒り出すお客さんもいるのでしょう。こうやって書いてあれば、コーヒーが995円とは軽井沢価格は凄いねと引き下がるか、それでも試してみようと納得して入ってきますから。

コーヒーと茜屋珈琲の世界観とそれらが醸し出す空間に身を置く贅沢を理解できるかどうかで995円の価値が決まります。

オーダー

今回オーダーしたのは「珈琲」です

▲オーダーするとこうしてドリッパーをセットして目の前に置いてもらえます。

ここからプレゼンテーションが始まっているのです。

▲ドリップが終わって出てきたコーヒーがこれです。

やはり神戸の萩原珈琲から取り寄せている豆を使い、砂糖もミルクもなし、ブラックでいただくのが基本です。

ポイント

ポイントはジ・オリジナルなその世界観でしょう。

そしてコーヒーに995円という価格の意味をどう捉えるか。995円のコーヒーがこんなものかと思うような人にはおすすめできません。

▲これは「駅前店」の外観。茜屋珈琲店で ”駅前” なのは軽井沢駅前だけなので ”軽井沢駅前” を名乗る必要がないのです。駅前といえば軽井沢駅前。これも茜屋珈琲店らしい世界観に基づいていますね。

また駅前店は比較的最近できた店舗だと思うので外観からしてレトロ感じに欠けているのがラブレトロ的には難点です。

駅前店から徒歩数分の「軽井沢 大賀ホール」のカフェも茜屋珈琲店(大賀店)だったのですが、どうも最近撤退したようです。本記事執筆時点では軽井沢の茜屋珈琲店は旧道店と駅前店の2店体制です。

以前の茜屋珈琲店は喫煙可能でしたが、最近店内禁煙にしたようです。

基本情報

店名 茜屋珈琲店 旧道店
住所 長野県軽井沢町軽井沢旧軽井沢666 MAP
最寄駅 軽井沢駅 徒歩30分
定休日 なし
営業時間 9:00 – 18:00
禁煙・喫煙 店内禁煙

営業時間、定休日などは変更になる可能性があります。


コメントを残す